【解説】安心して使える胃薬と要注意な胃薬
胃薬の成分、記事を書くに当たって私自身改めておさらいしたが、やっぱり多過ぎる(⌒-⌒; )
普段自分でも使っている人ならいいのだろうが、胃薬を買わない人からしたら、混乱するのも当然だと思う。登販試験の時にも勉強したはずだけど、いざとなると抜け落ちていてパニックになりそうである。特に、
私、〇〇の治療をしてるんだけど、大丈夫かしら?
とか訊かれたときに、どうだったっけ?となるのが怖い。
何の成分なら大丈夫で、何が要注意の成分だったか?
それらが入っている、又は入ってないのはどの製品だった?
煩雑なものは整理が必要だ。
今回は、成分を危険なものとそうでないものとに分別してみる。
【注意が必要な成分】
◆ロートエキス
→母乳が出にくくなる事がある。
◆ブチルスコポラミンなど抗コリン成分
◆制酸剤(カルシウム・ナトリウム・アルミニウム・マグネシウム)
→過剰症あり。
アルミニウムは透析中不可の成分。
◆ スクラルファート(胃粘膜保護修復成分)
→透析中だったり、腎機能が低下している人は注意。
◆カンゾウ(胃粘膜保護修復成分)
カンゾウを含む『大正漢方胃腸薬』(安中散と芍薬甘草湯の漢方合剤)
→長期服用により偽アルドステロン症(症状として、高血圧やむくみ)になる恐れがある。
→これも副作用がある。頓服使用を推奨。
◆オキセサゼイン(局所麻酔成分)
→比較的安全な成分だが、抗コリン剤と同じような副作用が起こる事もある。
ざっと書き出すとこれだけの留意事項がある。
一見多いようだけれど、まあ念頭に置いておくべきはロートエキスや抗コリン剤と、カンゾウくらいだろうか。
カンゾウは確かに、血圧の高い人は他のカンゾウ含有剤との併用には気をつけた方が良い。
生薬中心のものや、漢方系は作用が緩和で安心だと勘違いしているお客も多いのでその点は注意が必要かもしれない。
緑内障や前立腺肥大などの可能性があるなら、ロートエキスや抗コリン剤を配合していない製品は多いので、不安ならそちらをお勧めすれば良い話である。
(製品例は後述する)
あとは、アルミニウム製剤が透析中不可、というのは繰り返し習った記憶があると思うが、そもそも透析治療を受けなければならないような人が市販薬を買いに来る事も稀だろう。
カルシウム系は、先日紹介したザ・ガードやパンシロンビオリズムにも入っているくらいだ。
その他、過剰症に注意が必要なものは多いが、用法用量を守れば特に問題はない。
【特に注意の要らない成分】
◆健胃生薬(センブリ・ケイヒ・カルニチン等)
◆消化酵素(ビオジアスターゼ・ジアスメンジアスターゼ・リパーゼ・セルラーゼ)
◆消泡剤(ジメチルポリシロキサン)
◆胃保護修復成分のうち、テプレノン/MMSC/アルジオキサ/銅クロロフィリン
逆に上記のものだけで構成されている製品なら、健康な人が日常的に服用したとしても問題ない胃腸薬と言える。
上記を踏まえて、比較的安心して使える胃腸薬を紹介。
①セルベール
セルベールプレミアム
このシリーズの成分構成としては、
テプレノン
ソウジュツエキス
コウボクエキス
が基本で、プレミアムの方は消化酵素の
リパーゼがプラスされている。
ロートエキスは勿論、他の注意の要る成分は入っていないので、緑内障、前立腺肥大症の人や授乳婦にも使用できるし、風邪薬や解熱鎮痛剤とも併用が可能である。
ある程度胃腸症状が強い場合には、h2ブロッカーのガスター、スクラルファートなどに比べて効果は劣るし、制酸剤は入ってないので、胸焼けが顕著な時もお勧めはしない。
胸やけがなく、胃の痛みもそこまでひどくない人に対する有効性は評価されている。
胃のもたれが強いならセルベールプレミアムがお勧めだが、値段を高いと感じるならセルベールの方で充分だろう。
②田辺胃腸薬ウルソ
これも消化酵素のウルソデオキシコール酸が入っているだけなので、特に心配するべき事はない。
胃の機能が低下して胃もたれが起こっているような時にお勧めの医薬品である。ツイッターでの評価も高い。
③パンシロンソフトベール
これはセルベールの処方に、胃粘膜保護成分の一つで口臭にも効果があるとされる銅クロロフィリンナトリウムを足したもの。
因みに、銅クロロフィリンナトリウム単剤で、口臭除去の商品として売られているサクロフィールという商品もある。
胃粘膜保護成分には違いないので、マイルドながら二日酔いにも効能があるが、配合量はパンシロンソフトベールの3分の1以下に過ぎないので、胃腸薬としてはあまり期待できないだろう。
口臭対策がしたいだけならこちらで充分。
④ガストールアクティブ
ケイヒ末
ソウジュツ乾燥エキス
ホップ乾燥エキス
カンゾウエキス
アズレンスルホン酸ナトリウム
嗅覚や味覚に訴えて胃腸の働きを活発にする健胃生薬3つ+抗炎症成分2つ、という構成なので、高血圧でなければ特に気をつける要素はない。
⑤スクラートS胃腸薬
パンシロンアクティブ
パンシロンアクティブは、④と同じようにアクティブとつく生薬配合の製品だが、消化酵素や制酸剤も追加されているので、全く違う成分構成の医薬品である。
スクラートSは、パンシロンアクティブ
にスクラルファートと、もういくつか生薬を足したようなものと考えれば良い。
この2つについては、制酸薬もカンゾウも入っているし、全く注意が要らないわけではないのだが、他のパンシロンシリーズや青のスクラートに比べれば安心して使用でき、風邪薬との併用も可能だとされる。
ロートエキスが入っていないので、授乳中も可能である。
次のブログでは、要注意な成分配合のものも含め、どういう症状の時にどういうものが最もお勧めなのかを解説したいと思う。
最後までお読みいただきありがとうございました。