【徹底解説】どれがおすすめ?整腸薬の成分比較と選び方
軟便、便秘など、下痢止めや便秘薬を使うほどではない程度の症状に、と買いに来る人も多い整腸薬。
ドラッグストアの店頭で、
どれがいいの?
とざっくり訊かれて困る商品の一つだと思う。
だが実は、整腸菌というのはどれが合うのかは個人差の大きい成分の一つであり、確実に「どれがおすすめですよ」「どれが1番良く効きますよ」とは言い切れないのが実情なのである。
とは言え医薬品を販売する登録販売者なら、それぞれの特徴くらいは説明できるようにしておきたいものだろう。
整腸薬の成分となる整腸菌は大きく分けて3種類ある。
乳酸菌
糖化菌
酪酸菌
糖化菌は酸素がないと生きられない為、その活動範囲は小腸に限られる。
そのせいなのか、糖化菌が単体で配合されている整腸薬というのは見た事がない。大体、他の菌と組み合わせた構成となっている。
その一方で、乳酸菌だけの製品、酪酸菌だけの製品はそれぞれ存在する。
乳酸菌は酸素があってもなくても生きられるので、小腸から大腸にかけて広く増殖し、悪玉菌をやっつけてくれる乳酸や酢酸を作り出す。
ラクトミン、フェカリス菌、アシドフィルス菌などと表記されているのは乳酸菌だと思って良い。
酪酸菌は酸素を嫌うので、酸素の少ない大腸に生息する。
芽胞という膜を張る為、胃酸に負けずに大腸まで生きて届きやすい耐性の強い菌である。
酪酸菌の一つとして、宮入菌がある。
上記を踏まえて、それぞれの成分を比較してみる。
★乳酸菌のみ配合のもの
最も有名なビオフェルミンSは、乳酸菌だけで構成される製品である。
コンクビヒィズス菌
コンクアシドフィルス菌
コンクフェカリス菌
★酪酸菌のみ配合のもの
強ミヤリサン
宮入菌(酪酸菌)の単剤。
日本人に合う菌として近年注目されてきている。
★3種類全てを配合したもの
ビオスリー
上記で紹介した乳酸菌・糖化菌・酪酸菌の3種類が全て入っている。
その為、活動範囲が限定されず、小腸から大腸にかけて幅広い作用が期待できる。
どの菌が合うか個人差の大きい整腸薬は、どれか1種類しか配合されていないものだと、使ってみたけど自分に合わなかった、という事があり得るが、全て配合されているビオスリーではそのような心配も要らない。
Twitterでも、「他のを試してダメで、ビオスリーに落ち着いた」など高い評価を得ている。
★腸だけでなく胃にも効くもの
太田胃散整腸薬
ラクトミン
酪酸菌
ゲンノショウコ、アカメガワ(整腸生薬)
ゲンチアナ(健胃生薬)
ザ・ガードコーワ整腸錠a+
納豆菌末(ビフィズス菌の増殖を助ける)
ラクトミン
ジメチルポリシロキサン(ガスだまりに効果のある消泡剤)
センブリ、ケイヒ、ウイキョウ(健胃生薬)
パントテン酸カルシウム(善玉菌の増殖促進)
沈降炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム(胃酸を中和する制酸剤)
MMSC(キャベジンにも配合される胃保護成分)
ビオフェルミン、強ミヤリサン、ビオスリーのように整腸菌のみで構成された比較的シンプルで分かりやすい製品がある一方で、このように複雑な構成となっている整腸薬も販売されている。
ガードコーワは胃酸から菌を守るために制酸剤がプラスされている一方、太田胃散整腸薬には制酸剤はない代わりに、耐性の高い酪酸菌が配合されている為、生きて届くという面においてはどちらが上とも言えない。
太田胃散整腸薬=強い整腸菌
ザ・ガードコーワ=弱い整腸菌+菌を守る制酸剤
違いを分かりやすくすれば、
太田胃散整腸薬=[整腸菌+整腸生薬2種類+健胃生薬1種類]
ザ・ガードコーワ=[整腸菌+健胃生薬3種類]
となっている為、便秘や軟便など腸への効果は太田胃散に、胃もたれなど胃への効果はガードコーワに、それぞれ軍配が上がる。
しかし太田胃散にも消化酵素が配合されているので、こちらも胃もたれに効かない訳ではない。あえて比較するなら、という話である。
また、ガードコーワにはガスだまりを改善する消泡剤も配合されている為、その方面の効果も期待するならこちらを選ぶと良いだろう。
★栄養補給もできるもの
この2つは効能効果が似ているとも言われ、価格の安いエビオスを選ぶ方が多いようだ。
実際の成分はどうなっているのだろうか。
乳酸菌培養菌
ニコチン酸アミド(ビタミンB3)
乾燥酵母 7125mg
※エビオス整腸薬
乾燥酵母 2025mg
フェーカリス菌(ラクトミン)
乾燥酵母とは、必須アミノ酸やビタミンを豊富に含んだ成分で、タンパク質や栄養素の補給ができるものと考えて良い。
エビオス錠は乾燥酵母の単一製剤で、整腸菌は入っていないが、乾燥酵母そのものにも整腸作用がある。また、整腸菌の餌となってくれる成分でもある。
この2つの効能効果は主に、
●胃もたれ、食欲不振などの胃腸症状
●便秘、軟便などへの整腸作用
●滋養強壮、栄養補給、虚弱体質改善
などが挙げられる。
因みにエビオス整腸薬の効能欄には、整腸作用しか記載されていない。
つまり、腸活だけでなく栄養補給もしたい場合に服用するもの。
価格については広告費など、メーカー側の様々な都合があるので定かではないが、ビタミンなどの栄養素は強力わかもとの方に多く入っている為、こちらの方が値段が高くなっている可能性はある。
この2つは、整腸剤の中でもちょっと異質な製品と言える。
〈他の市販薬との併用は?〉
基本的に、どの医薬品とも併用しても問題はない。
だが、ザ・ガードコーワについては少し注意が必要である。
ガードコーワに配合されている納豆菌は、ビタミンKを作る作用がある。
対してワルファリンなど、血を固まりにくくする為の抗凝固剤はビタミンKを抑える事で作用を示すもの。
つまり、ガードコーワと併用する事でワルファリンの効果を落とす可能性がある。
また、ガードコーワに配合されているカルシウム・マグネシウムなど、微量なミネラルが風邪薬や花粉症薬の効果を落とすおそれもあると言われている。
あくまで可能性があるという程度なので、それほど厳重に注意の要る訳ではないけれども、
血栓の治療をしている人、風邪薬や花粉症などと一緒に使いたいという人については、できればガードコーワ以外の選択肢を提示できると良いだろう。
他の医薬品の効果を落とす可能性がある一方で、逆に併用する事で整腸薬の効果が弱まる恐れのあるケースもある。
それは、抗生剤を使用している場合。
抗生剤は体の中の悪い菌だけでなく、良い菌も見境なく攻撃してしまう為、整腸薬を若干効きにくくする可能性が出てくる。
抗生剤を飲んでいて、お腹を下す人があるのもそのせいである。
そのような場合のために、抗生剤に耐性のある菌も存在する。
酪酸菌と、
耐性乳酸菌である。
酪酸菌は、前述通り芽胞を形成するため、胃酸だけでなく抗生剤にも強く、抗生剤と一緒に使っても効き目は落ちにくい。
酪酸菌が入っているのは、上で挙げたものの中では、
強ミヤリサン
ビオスリー
太田胃散整腸薬
の3つとなる。
耐性乳酸菌は、ビオフェルミンRという製品に代表されるものだが、こちらは処方薬となっており、ドラッグストアでは購入できない。
下痢や軟便の副作用を避けるために、抗生剤と一緒に処方されるものであるようだ。
また、有名なものでなくてもビフィズス菌配合のものを安く気軽に試してみたい、と言う人には、以下のような製品もあるのでよければご参考までに。
固有のブランドとあって、他の製品よりも断然コスパの良いものとなっており、ビオフェルミンなどの成分と比較しても効果に差はないと分かるので、充分お勧めできるものとなっている。
PHARMA CHOICE 整腸薬 550錠
成分・分量 9錠中
ビフィズス菌・・・・・・・・・・24mg
ラクトミン(フェカリス菌)・・・・・・・・・・24mg
ラクトミン(アシドフィルス菌)・・・・・・・・・・24mg
添加物として、還元麦芽糖水アメ、アメ粉、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロースを含有します。(その他の添加物は、添付文書に記載
主な市販の整腸薬の違いについて、お分かり頂けただろうか。
店頭で販売する時、又は自分が購入する時などに参考になれば幸いである。