登録販売者コウペイが教える市販薬の選び方

市販薬について、新人登録販売者やドラッグストアで買い物をする方などに、出来るだけわかりやすく解説する記事を書いています。時には書評記事も。

肩こりに効く市販薬は?漢方、湿布、磁気、どれがオススメ?

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冬に入って以来、風邪薬よりも痛み止めを買っていかれるお客が多い。

何故この時期に?と思ったら、

寒さで肩こりが酷いのでは?

と同僚。

確かに解熱鎮痛薬の効能欄には肩こりや腰痛があるが、肩こりなら痛み止め以外にも選択肢がある。


そこでこの記事では、肩こりに効果的な市販薬について紹介したいと思う。


漢方
特に寒さで血行が悪くなって生じる肩こりなら、身体を温める漢方薬がお勧めできるだろう。


①葛根湯

寒気のする初期の感冒に効く事で有名だが、肩こりの改善だけを目的に服用する人も多い。
身体を温めて血流をよくする事で肩こりを改善していく。
散剤やドリンク剤がある。
私も飲んだ事があるが、この散剤があり得ないほど苦い😅
ドリンク剤の方は独特の風味があるものの散剤に比べれば圧倒的に飲みやすい。


ただ、一回分の値段を考えるとドリンクは高い。
風邪に使うなら数日なのでドリンクでも良いが、肩こりに使うとなると1ヶ月は飲み続ける事になり、後者ならコスパ的には散剤を使うのが現実的だろう。



②独活葛根湯
葛根湯に独活(ウド)を足した物。
肩こりというより、四十肩や五十肩に用いる事で有名。
ウドを足す事でどうなるのか調べてみたが、その作用としては、「血管拡張、消炎鎮静、むくみの軽減」が挙げられるそう。


つまり痺れや痛みを止める効果に一役買う程度だが、漢方は複数の生薬が合わさる事でより良い効果を発揮する物であるから、単純な足し算では確かな事は言えない。


芍薬甘草湯

コムレケアツラレスという製品で販売されている。
足のつり、こむら返りに有名だが、異常な筋肉の収縮を抑えて痛みを取るシャクヤクカンゾウ(葛根湯にも配合)に特化した漢方なので、特に痛みが強い時に向いている。


最短6分で効く即効性に優れた漢方なので、肩こりが顕著な時に頓服で服用する選択肢としてお勧めである。

錠剤だけでなく、水無しで飲めるゼリータイプ(グレープフルーツ味)も販売されている。


④コリッシュ
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治肩背拘急方という漢方が元になる製品。これは神経質な人の肩や背中の痛みに向くタイプのようだ。

 

〈注意点〉
ただし、漢方は証を見ると言って、体質にも留意する必要がある。

芍薬甘草湯はあまり気にする必要はないが、葛根湯は体力が中くらいの人に向く漢方で、虚弱な体質の人は胃腸障害などの副作用が起きる事もある。

殆どの人は大丈夫だけど、汗をかき易い人などには向かないとされている。


筋弛緩剤

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筋肉の硬直や緊張を緩める薬というのがある。
市販では以下の2つが有名で、どちらも筋弛緩剤+エテンザミド(痛み止め成分)の構成である。


①ドキシン
メトカルバモールという筋弛緩剤が使われている。
こちらは鎮痛補助成分のジベンゾイルチアミントコフェロール(血行をよくするビタミンEの一種)も配合されている。


②コリホグス
こちらの主成分はクロルゾキサゾンという筋弛緩剤である。


ドキシンがどちらかと言えば神経の反射を抑えて緊張を取るタイプなのに対し、コリホグス肉体的に硬直した筋肉をほぐすイメージ。


正直どちらがよく効くとは言えないので、安い方から選んでみると良い。
高額な為、痛み止めや漢方で効かない時の選択肢としてのみお勧めである。

 

湿布剤

最近第一類から第二類医薬品にスイッチされ、薬剤師がいない土日祝日でも買えるようになったロキソニン(ロキソプロフェン)の湿布剤。
更には温感のロキソニンまで発売された。

湿布は、

◆成分

◆温感or冷感

◆剤形(テープ、パップ、ゲル)

で別れていてかなり種類が豊富な為、知っていないと選びにくい。
どれが自分の症状に合っているのか、ぜひ参考にして頂きたい。


まず、成分は大きく分けて、
①痛みの元を抑えるタイプ
②知覚神経に作用して痛みを取るタイプ
の2つがある。


①は冒頭で挙げたロキソニンの他、
フェルビナク(フェイタス)
ジクロフェナク(フェイタスジクサス)
インドメタシン(バンテリン)
の3つ。 

②はサロンパスにも入っているサリチル酸という成分。

 

自分に使うものなら普通に買っていくけれど、子供に使うものは慎重に、となる人も多い。


よく効くのは①だが、飲み薬の痛み止めと同じで、強い分副作用も起こりやすい。
以下に該当する人は注意が必要である。


⚫︎胃腸が弱い
⚫︎喘息持ち
⚫︎血圧が高い


②は強い成分ではないので副作用は起こりにくい。
が、逆にかぶれやすいのは①よりも②の方である為、皮膚が弱い人は注意が必要となる。


◆温感か冷感か。
湿布といえば冷たいイメージを持つ人も多いのではないだろうか?
だが、冷感をお勧めできるのはどちらかと言えば打撲やねんざなどの急性の炎症」である。


肩こりや腰痛のような慢性の症状は、温めた方が効果的なことが多い。


温感の成分(添加物)としては、
⚫︎ノナン酸バニリルアミド
⚫︎カプサイシン
⚫︎ニコチン酸ベンジルエステル
があり、これらが配合されている物の中から選ぶと良い。

 

なお、持続時間ではボルタレン、効く速さではロキソプロフェン、がより優れている。

◆剤形
①テープ
②パップ
③ゲル
大きく分けてこの3つがある。


パップは冷やす効果が強く、温感の商品があるのはテープとゲルだけである。
今回は肩こりがテーマなので、肩こりにお勧めな温感中心にお勧めを紹介する。


最も剥がれにくいのはテープ剤
ただし、パップよりかぶれ易い欠点がある。


テープでかぶれるのなら、成分を変える他、ゲル剤を試してみるのも一案。


貼るタイプと、塗るタイプであるゲルとどちらが効くのか尋ねられることも多いが、主成分が同じなら効果に差はない。


ただ、テープは1日一回張り替えれば良かったりするのに対し、ゲルは6時間ごとに塗り治す必要がある。


磁気医療機器


要するに磁気の力で血行を良くして肩こりを改善する製品である。

 

150Tなどと表記された数字は、磁力の強さを意味しているし、サイズについては何センチかを見て、服の中に隠れるようにしたいなら長いものをお勧めする。


効果については、正式な学術データが揃っていないとかで、疑わしいとする意見もある為個人的にはお勧めしない。


じゃあどういう時にお勧めかと言えば、
⚫︎高血圧などの持病があって葛根湯や湿布剤が使えない。
⚫︎妊娠中、授乳中で市販薬に不安がある。
⚫︎長く使える経済的なものが欲しい。


確かにこれなら持病や体質を気にする必要もないし、マグネルーに関しては繰り返し使える為、経済的である。


だが個人的には、健康面での不安がないなら葛根湯などをお勧めしたい。

 

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