真夏にオススメの日焼け止め 落ちにくいものから赤ちゃんも使えるものまで
日差しが強くなってきて、日焼け止めやUV化粧品の需要が増えるこの季節。
ドラッグストアの従業員であれば、どんなものがあるのかだけでも把握しておきたいところ。そうでなくても、自分に合うものはどれなのか、知りたい人は多いはずだ。
そこで、久しぶりの更新となるこの記事ではそんな人たちの為に、使う人それぞれに合わせたタイプ別でのオススメの日焼け止め商品を紹介してみる。
《吸収剤と散乱剤・
肌が弱い人でも使えるタイプは?》
まず、日焼け止めには大きく分けて2つの種類がある事を知っておこう。
一般的なのは吸収剤と呼ばれるタイプ。日焼けの原因となるUV-AやUV-Bを吸収する成分を配合したタイプの事で、肌内部へ紫外線が入るのを防いでくれる。
汗にも強いため、効果が長持ちするというメリットもある。
成分名としては、
t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル
オキシベンゾン
などがあるので、興味があれば製品パッケージの成分表記を見てみるといいかもしれない。
一方で散乱剤はUV-AやUV-Bを反射させることで日焼けを防ぐタイプである。
ノンケミカルなので天然成分にこだわる人におすすめだ。
赤ちゃんや子供向けの日焼け止めには、この散乱剤が使われている。ドラッグストアでは、日焼け止め売り場ではなくベビー用品の売り場に出ている事が多い。
成分名は、
酸化チタン
など。
ファンデーションやおしろいにもよく使われるミネラル成分だ。
UV効果が強いのは吸収剤の方なので、とにかく焼きたくない、という方には吸収剤がおすすめ。
ただし、吸収剤は肌に負担がかかるため、肌が弱かったり、「肌に負担のないものが欲しい」などのこだわりがあるなら、刺激の弱い散乱剤タイプを使うのもアリ。
だが散乱剤は汗に弱く、紫外線に対する防御力は吸収剤に比べてどうしても弱くなってしまう。また落ちやすいため、こまめな塗り直しが必要になるというデメリットもある。刺激は少ないが、肌質によりトラブルの原因にならないとも限らず、注意が必要だ。
《好みに合わせて使いやすいものを選ぼう・日焼け止め6つのタイプ》
一口に日焼け止めと言っても、いざドラッグストアの売り場に行くと商品がいっぱいありすぎて、予備知識がないとどれがいいのか悩んでしまう。
店員であれば、何がいいの?とお客に訊かれて困るという事も多いだろう。
吸収剤と散乱剤という日焼けを防ぐ主成分の違いだけでなく、クリームやジェルなどの形状の違いについても説明できるようにしておこう。
使いやすさ、使用感にこだわるなら、最もスタンダードなローションタイプ。
塗りやすく落とすのも簡単で、水にも強いため、最もおすすめしやすいタイプだと言える。
保湿力も欲しいなら、クリームタイプや乳液(ミルク)タイプ。
クリームは化粧下地としても使い勝手がよく、乳液は伸びが良い。特に夏以外の乾燥する季節に使うならこの2種類のどちらかがおすすめとなっている。
ベタつくのが嫌な人はジェルタイプ。
よく伸びるため面積の広い部分にも塗りやすい。ただし、保湿力は弱いのが難点。
背中や頭部などの手の届きにくいところには、ミスト/スプレータイプ。
他と合わせて使用するといいだろう。
外出先でも塗り直しがしたいなら、化粧の上からも使用できるパウダータイプ。パウダーは散乱剤タイプが多い。
《吸収剤を使用した日焼け止めの例》
汗に強く焼けにくい、と言えばアリィーやアネッサなどが代表的。
汗では落ちにくく、石鹸では落としやすいと言えばアリィー。
一方、とにかく焼けにくいと言えば海外でも人気なアネッサが特に優れていると言えるだろう。
またそれぞれ前述したような乳液(ミルク)、ジェルタイプなどがある。
一般的に、クリームやローションは落ちにくいとされている。とにかく落ちにくいものがいいなら、「ウォータープルーフ」「汗や水に強い」「二層式タイプ」という表記も参考に選ぼう。
続いてはスポーツビューティ。これは私も店舗で従業員向けのサンプルを使わせてもらった事がある。アリィーやアネッサに比べると水や汗への強さでは劣るものの、圧倒的に馴染みがよくて、その使用感に感動したほど。よく伸びてベタベタ感は全く無く、つけている感覚もほとんどないくらいだ。価格的に見てもちょうど良さそう。とにかく使用感にこだわる人、ベタベタするのが嫌だという人にうってつけの製品となっている。
スキンアクアトーンアップUVは、SNSで話題になった事があるようで、買っていく人がとても多い商品だが、水と摩擦には弱くベタベタするという意見も。
ただ名前にもある通り、自然に「トーンアップ」できるという点ではおすすめできる。だからこそ話題になったのだろう。
サンカットトーンアップUVエッセンスは、香りが強いのでボディ用にオススメだが、気にならないなら顔に使うこともできる。微細なパールでツヤを出すことができ、化粧下地としての需要もあるようだが、トーンアップ効果はかなりさりげない。
安価なものでは、メンソレータムサンプレイスーパーブロックなどがある。これは落ちにくさをかなり重視したものだが、落とすときはかなり擦らないと落ちないため、肌に負担をかけてしまうデメリットがある。
店頭での値段は税抜き300円代ほどで、安さで選びたい人には選択肢としていいかもしれない。
《散乱剤のみ使用の日焼け止めの例》
ボディクリームやハンドクリームでも有名なニベアのシリーズでは、吸収剤と散乱剤の両方が販売されている。例えばサンプロテクトウォーターミルクマイルドのように、「マイルド」と付いているものは散乱剤タイプだと考えると分かりやすい。
(同じシリーズのニベア•サンプロテクトウォータージェルなどのように、「マイルド」と付いていないものは吸収剤使用の日焼け止めとなっている)
また、ビオレさらさらUV のびのびキッズミルクなどのように、「キッズ」と名前にあって子供向けと分かるものは大体散乱剤タイプ。
更にこちらはシアバターやBGなどの保湿成分をプラスしている。
キュレルUVエッセンスやキュレルUVローションなどのようなキュレルシリーズも、セラミドなどのスキンケア成分を配合しているため、より敏感肌向けの製品としておすすめだ。
ユースキンSなどは、ベタつくが撥水がよくて落としやすいというメリットがあり、散乱剤タイプにもそれぞれ特徴がある。
成分で判断するのが難しければ、「吸収剤フリー」「ノンケミカル」などの表示を見ると良い。
よく見かける「SPF○○」「PA +++」というのは、日焼け止めに限らずファンデーションや化粧下地などにも付いている数値だが、ここは簡潔に、数値が大きいほど、+の数が多いほどUV効果が高い、と考えて良い。
5時間以下の外出なら、SPF10〜15/PA +で充分で、
10時間以上外出するような場合は、SPF31〜50/PA +++〜++++を目安に。
とは言え、実際に店頭で見るとSPF10くらいの弱いものというのは稀である。大体30以上だったり、50のものが殆どだったりするのだが、UV効果が高いほど肌に負担がかかる、というのも一応頭に入れておきたい。
《スキンケア・塗る順番》
基本的に、日焼け止めを塗るのはスキンケアの最初。
まず日焼け止めを塗り、化粧下地、メイクの順で使用。
ただし、パウダーやミストタイプなどのようにメイクの上から使用できるものもあるので、個人の好みや使いやすさに合わせて選ぶといいだろう。
ちなみに、余ったものを放置しておくと酸化してしまい、酸化したものを使うと肌への負担となってしまう。なので、基本としてどのドラッグストアでも、日焼け止めはワンシーズンで使い切るのをお勧めしていると思う。
《まとめ》
どうだっただろうか。
日焼け止めを、普段何となく販売している、または自分でも使っているという人も、いざ調べてみると色んなタイプがあるんだなと分かると思う。是非この記事を参考に、個人のニーズに合わせ、自分に合ったものを使用していってもらいたい。
めまいに効く市販薬
めまい。
若くて健康な人には縁のない症状だろうが、年配の方など、案外にもめまいを訴えて来店する顧客も少なくはない。
その中には乗り物酔いのような一時的なものだけでなく、よく原因の分からない慢性的なものも。
今回は、めまいの種類によってどういう市販薬を使い分けたら良いのか、また、どのような仕組みで作用するのかを考えてみた。
めまいの種類
めまいには、難聴を伴わず数分で治まる良性発作性頭位めまいや、風邪などから続いて生じる前庭神経炎などの軽症なものから、
聴力障害を伴い数時間では治らないメニエール症候群など、原因によってさまざまなものがある。
市販薬の範囲内となるのは、このうちの軽度なもの。
また、乗り物酔いや更年期障害など原因のはっきりしているものに対しては、それぞれ、乗り物酔い薬、漢方系婦人薬を使用する事になる。
代表的な漢方
めまいに有効な市販薬として、まず漢方の苓桂朮甘湯がある。しかしこれの主な構成生薬は、ブクリョウやソウジュツなどの水分循環をよくするもの。
水分循環がめまいにどう関係があるの?
と思うところだが、要するにこの苓桂朮甘湯は、水毒を排出する事でめまいを改善するもの。
めまいの第一原因として、水分が停滞している事を疑う事による。
苓桂朮甘湯
ブクリョウ
ソウジュツ又はビャクジュツ
ケイヒ→のぼせ、頭痛を発散して治す。
効く仕組みとしては、低気圧による頭痛などの不調に使われる五苓散に近いと言えるだろう。
確かに、五苓散の効能にはめまいも含まれている。
更年期によるめまい
原因が更年期障害であるなら、更年期諸症状に効く漢方薬を使用する。
代表的なものとして、
①当帰芍薬散
②桂枝茯苓丸
などがある。
①は虚証向けなのでどちらかと言えば体の弱い人の、特に冷えの強い場合に適すし、②は実証向けなので、割と体力や体格のいい女性の、特にほてりなどが強い場合に適すとされる。
③ルビーナ®️
赤いパッケージのルビーナは、先ほど紹介した苓桂朮甘湯+四物湯の連珠飲処方なので、婦人薬の中でもめまいなど伴う更年期にお勧めできるだろう。
乗り物酔いによるめまい
トラベルミンシニアなど、通常の乗り物酔い薬の効能に、めまいも含まれている。あくまで、乗り物酔いが原因の場合である。
トラベルミンシニア
ジプロフィリン
その他の成分
ガンマオリザノール
めまいや耳鳴りにも効果が期待できる成分で、自律神経調整薬ハイゼットにも配合されているもの。
市販薬では、アリナミンEXなどのビタミン剤に入っていることも多い。
受診案件
軽度なものなら市販薬を使用してみても良いが、それで改善しないようであれば、何か別の重大な病因が存在する可能性もある。
特に高齢者では、血圧の薬による可能性や、脳梗塞など脳循環の異常が原因となっている可能性は大きい。
●吐いてしまうような激しいめまい
●手足の麻痺
●呂律がおかしくなる
●感覚の異常
…など別の症状を伴うめまい
これらに当てはまるようであれば、市販薬を使用しても効果がなく無駄になってしまう可能性もあるため、最初から受診することをお勧めする。
また、強い不安やストレスによるめまいなら、向精神薬を処方してもらうより他になく、これも市販薬の対象外となる。
因みに言えば、めまいはほぼ全ての薬で副作用として起こり得るため、使っている薬があれば、原因がそこにある可能性も考慮する必要があるだろう。
まとめ
●原因が分からないめまい(症状の軽いもの)
→苓桂朮甘湯
●更年期によるめまい
→当帰芍薬散
桂枝茯苓丸
ルビーナ
などの漢方系婦人薬
●単純な乗り物酔い
→トラベルミンなどの乗り物酔い薬
●吐き気を伴う、市販薬で改善しない
→重大な病気の可能性
又は使用中の薬の副作用
→受診
店頭で相談を受けた際、又はご自身がめまいに悩まされている方は、ぜひ参考にしてみて欲しい。
花粉症、目の症状が特にひどい時におすすめするべき目薬は?
3月も末になり、全国のドラッグストアでも鼻水や目の痒みを訴えて来店する顧客が増えてきた事と思う。
つい先日も私が固定レジの時、片目を真っ赤にした鼻声の若い男性が自動ドアを抜けてくるなり、
花粉症の薬って売ってますか?
と訊いてきた事がある。
「花粉症の薬売ってますか?」って、そりゃドラッグストアでそれ売ってなかったらどうにもならないよ😅と思ったが、どちらにしても私はレジなので定番売り場へは行かれない。
レジの脇のプロモにも展開されている為、ひとまずはそちらのキャンペーン品をご案内。
店内中央の花粉症プロモと目薬の定番売り場の場所を口頭で説明すると、そちらへ歩いて行かれたのだが、ヒアリングしたいことが山ほどあるのに、と私は離れられないレジの中から気が気ではなかった。
アレジオンの割引になった奴をレジに持ってこられたが、目に症状が酷く心配だった為、目薬の併用が選択肢としてお勧めである事を伝え、売り場が遠いので少し悔しいが別の登録販売者を呼んで対応してもらった。
そこで結局買われたのがロートアルガード。
あとで、なんで数あるアレルギー目薬の中からこれになったのだろう?と疑問に思い、改めて成分を確認した。
ロートアルガードクリアブロック
クロモグリク酸ナトリウム1%
プラノプロフェン0.05%
クロルフェニラミン0.03%
コンドロインチン硫酸ナトリウム0.5%
添加物:ホウ酸/ホウ砂/l-メントール/dl-カンフルetc.
ロートアルガード
クロルフェニラミン0.03%
グリチルリチン酸0.25%
テトラヒドロゾリン0.01%
ビタミンB6 0.1%
添加物:メントール/dlカンフル
まず良く効くイメージのあるクリアブロックの方だが、抗ヒスタミン成分が2種類入っている。
クロモグリク酸ナトリウムと抗炎症成分であるプラノプロフェンが基準内最大量の成分構成となっていて、なるほどだから値段も高額なわけだ。
一方で比較的安価なロートアルガードの方は、抗ヒスタミン成分がクロルフェニラミンマレイン酸塩のみ。
代わりにこちらは充血除去剤を配合している。
前述の男性客は充血が酷かったからこれになったのだな、とようやく納得した。いちいち成分を見てみないと分からないものである。
私はてっきりクリアブロックの方にもテトラヒドロゾリンが入っている事と思っていたから、基準内最大のこちらを勧めるだろうとばかり思っていたのだ。
まだまだ勉強が足りないと反省し、アレルギー目薬について色々比較してみた次第である。
〈強いものを求めるなら〉
痒みが強いなら、やはり上でも成分構成を紹介したロートアルガードクリアブロックがお勧めだろうか。
クリアブロックは、アルガードシリーズの中でも最大の効き目を誇る製品と言える。
緑のロートアルガードクリアマイルドの方はどうかと言うと、しみないだけで成分濃度は同じかと思いきや、クロルフェニラミンとコンドロイチンの濃度が少し低くなっている。
メントールやカンフルが入っていないので名前の通りマイルドでしみにくい。他の基本構成はクリアブロックと同じである。
より効果が強く清涼感のあるものが欲しい人はクリアブロック、しみないものが良いという人はマイルドの方をお勧めする方向でいいだろう。
〈子供には使えるの?〉
添付文書を確認してみたが、花粉症目薬は7歳から使えるというものが多いようだ。
それより小さい子供には、ロートアルガードこどもクリアという小児向けの製品もある。
ロートアルガードこどもクリア
グリチルリチン酸ニカリウム 0.1%
クロルフェニラミン 0.03%
ビタミンB6 0.05%
ロートアルガードやロートアルガードSも、クリアブロックと違って特に年齢制限の記載はない。
また、ロートアルガードとロートアルガードSの成分についてだが、違いが全く分からなかった😅
ベンザルコニウムやパラベンなどの防腐剤は無添加だが、メントールやカンフルは入っており、テトラヒドロゾリンが使われている点も同じである。
こどもクリアの方も防腐剤無し、メントールカンフル有りとなっているが、こちらはテトラヒドロゾリンが無配合のため、充血がひどくなければ小児にはこどもクリアが第一推奨となるだろう。
〈コンタクトをしていても使えるものは?〉
花粉症目薬の殆どが、ハードコンタクトならOKとしているが、防腐剤無添加であってもソフトコンタクトレンズ装用中は使用しないで下さいとの記載があるものが多い。
ソフトコンタクトレンズをしたまま使いたいなら、選択肢はロートアルガードコンタクトになるだろう。
ロートアルガードコンタクト
クロルフェニラミン 0.03%
コンドロインチン硫酸エステルナトリウム 0.5%
ビタミンB6 0.01%
メントールカンフル有
カラーコンタクトには使えないのでその点は注意。
ちなみに名前にコンタクトがつくからと言ってコンタクトをしている人専用というわけではなく、
防腐剤や血管収縮剤のテトラヒドロゾリンなど余計な成分のない目薬なので、充血の症状がないなら、総じて目に優しいものを選びたい人全般に推奨できる製品となっている。
〈妊婦・授乳婦でも安心して使えるもの〉
さて目薬は妊娠中、授乳中にも気にせず使っていいのかどうか、よく分からないという人も多いはず。
目薬だから関係ないでしょ
と思っている人もいるかもしれないが、実は目薬にも妊娠中授乳中に留意すべき成分があって、それが抗炎症成分のプラノプロフェン。
ラットの実験では分娩遅延が認められているとかで、安全性が確立していないと言う。
最も、医薬品としての添付文書でも、してはいけない禁忌というわけではなく、そんなに心配する事はないが、可能ならばそのような成分は避けたいところ。
前述の成分構成を見て貰うと分かる通り、ロートアルガードクリアブロックやクリアマイルドにはこの成分が入っている。
対して、ロートアルガード、ロートアルガードS、ロートアルガードこどもクリアの方はプラノプロフェン無配合なので、妊婦授乳婦の方は、これらの中から選ぶと良いだろう。
【体験談】ダイエットが原因の便秘に!オススメの市販薬を紹介
こんにちは、
駆け出し登販ブロガーのコウペイです。
ツイッター名の麦門(むぎかど)コウペイは半分ギャグなので、従来通り「コウペイ」とお呼び頂ければ嬉しい限り。
今回は便秘薬について。
〈下剤はクセになる?〉
特に若い女性に多い便秘。
私も職場であるドラッグストアの売り場で、30代くらいの女性から相談を受けたことがある。
「ヨーグルトなどで乳酸菌を摂るようにしているが、中々効果がない。
でも便秘薬は癖になりそうで少し不安に思っている」
との事だった。
便秘薬を始めて使う人にとって、下剤への依存はたしかに危惧するところではあるだろう。
私も、ダイエット塾のチアリーダーで、昔乱用したせいで今は下剤なしでは出なくなった、という薬剤師の女性を知っている。
それを聞いた時は、自分もそうなったら嫌だなぁと思ったものだ。
〈下剤が原因の死も〉
下剤を使っても便が出ず、最後は大量に服用して腸管破裂を起こして亡くなった事例が、某番組で紹介されていた事がある。
そんな死に方嫌だな…(・_・;
とは言え、それは一度に100錠も飲んだとか、用量を遥かに超えた極端な例。
何故そんなになっても病院に行かなかった?と疑問を禁じ得ないところではあるが、それは置いておいて、
このケースで服用されたのはおそらく刺激性の下剤ではないだろうか?
便秘薬にも色々な種類があって、中にはクセになりにくく、腹痛も起こりにくいものが存在する。
私も何種類か使ったことがあるので、その体験談も含め、この記事では下剤以外の選択肢なども詳しく紹介しようと思う。
〈便秘の原因〉
まずは、そもそもなぜ便秘になるのか?
そのタイプは大きく2つに分けられる。
(※大腸ガンなど大きな病気が隠れているケースもあるが、ここでは一般的によくある常習性便秘という前提でのみ書いていく事にする)
①ストレスが原因の痙攣性便秘
②蠕動運動(便を押し出す腸の動き)の衰えが原因の弛緩性便秘、直腸性便秘
これらの症状に対する便秘薬は、刺激性と非刺激性とがある。(製品例は後述する)
①のストレスによる痙攣性便秘は、刺激を与えると逆効果なタイプとなる。
環境の変化など、原因となるストレスに思い当たるものがあって、便がコロコロしていればこのタイプだと思ってまず間違いない。
②の蠕動運動が弱まっている事による便秘は、逆に刺激が必要な状態だが、非刺激性から試してみる事も可能。
便は大きくてカチカチしている事が多い。
②のタイプのように蠕動運動が弱まる要因として、加齢、又は食事量の不足などが挙げられる。
〈なかなか理解されない、ダイエットが原因の便秘〉
私自身、便秘は長く苦悩してきた問題で、3日置きくらいにしかお通じがなく、便がまだ残っているような残便感にも未だ悩まされている状態。
乱用というほどではないが、便秘薬に頼るしか綺麗に出し切る方法がないのが現状である。
冒頭の30代女性もそうだが、自分の場合は②のタイプのように、食事量が関係していると思っている。
1日3食食べる
野菜を摂る
水を飲む
ヨーグルトなど乳酸菌を含むものを食べる
適度な運動
など、便秘対策を検索してヒットするのは元々当たり前にやっている事ばかり。
思い当たる事があるとすれば、そもそもの炭水化物の量。
かつてダイエット塾を受講し、チアリーダーの協力もあって12キロ以上痩せた事がある私。
これはちゃんと健康的に食べて痩せるダイエット塾で、必要な栄養を摂りながらも、体重を落とすにあたって必要最低限まで炭水化物を調整する、というやり方をする。
私は塾を卒業後、自己判断で最低限の炭水化物量(一食でパン6枚切り一枚、ご飯で100g)まで減らした事があり、たしかに体重は更に減ったが、この時から便秘が酷かった。
キープに入り、パン6枚切り一枚半、ご飯150gまで増やしたが、その後も便秘が改善する事はなかった。
ダイエット塾によると、人間にはこの炭水化物量が最適で、これ以上は多すぎるとの事だったけれど、
一説には、パン6枚切り2枚、ご飯200gは食べなければならないという話もある。
もしかしたら個人差の問題で、私もそれくらい食べるようにすれば薬なしで便秘が治るのかもしれないが、そんなに食べたら太るのでは?という恐怖から、そこまで増やす気にはなれないでいる。
元来、女性は男性に比べて蠕動運動が弱い。
そこへまた、太りたくないという思いから食事量を減らす女性も現代には多いのだから、便秘になりやすいのも当然だ。
しかしこの悩みは、体型や体重に無頓着な人には理解されないようだ。
ダイエットやめればいいだけじゃん、と言われたら確かにそうだけど、痩せる事以上に大事な事なんてない、と思っている人間にとっては何とも悩ましい問題だ。
無論、痩せていようが太っていようが人それぞれだが、健康に比べたらダイエットなんて、と思っている人間が一定量いる一方で、ある程度健康を犠牲にしてでも痩せていたいという人も多いのが、この痩せ礼賛の現代の実情ではないだろうか。
個人や程度の差はあれ、若い女性であれば、私と同じような悩みを抱える人も一定数いるはずだと考えている。
〈乳酸菌を含む食品や整腸剤の効果〉
体質の違いなのだろうが、「便秘なんだよね」という話をすると、
「ヨーグルトとかキムチ食べればいいじゃん」
「ヤクルト毎日飲めばむしろピーピーになるよ」
とか、乳酸菌を含む食品を摂るだけで便通に関する問題など全て解決するような事を、笑いながら言ってくる人があるのだが、
そんな容易にに解決できる問題なら、便秘薬を必要とする人など出てくるものか。
簡単に言わないで欲しい、と正直腹わたが煮え繰り返りそうになりながら聞いていた記憶がある。
ヨーグルトなんて元より毎日食べているし、キムチ料理はじめ、腸にいいとされるメニューも色々試した事があるけれど、それで便通が良くなった事などない。
ネットで、モデルや女優がヨーグルトを1日200gも400gも食べている、
などという情報を見た時は、物は試しと真似してみたこともあるが、お腹の中でガスが異常に発生して苦しんだだけで便通は1ミリもないままに終わった。
一方の整腸剤については、最初は効いたが続けて服用するうちに効かなくなったパターン。
私が試したのは2つの製品。
最初は安価なイメージのあるビオフェルミンを使ってみた。
すると、一回飲んだだけでその日のうちに便通があり、整腸剤だけでこんなに効くのなら便秘薬なんて要らなかったじゃないかと面食らった。
ところが2、3日続けるうちにオナラばかり出るようになり、便通の効果はどこへやら。
次は全く違う成分で、日本人に合うと言われる強ミヤリサンを試した。
後から知ったのだが、便秘薬ほどではないにしろ蠕動運動を促す作用もあるとかで、これがまた最初はよく効いたものである。
そして2、3日の後にまた以前よりひどい悪臭のするオナラへと変わってしまったのだった…😅
「整腸剤は下剤のように効かなくなるという事はないから、サプリのような感覚で長く飲み続けると良い」とも言われるけれど、生活に支障をきたす程オナラが出まくったので、まだ余っているうちから止めざるを得なかった。
Twitterで強ミヤリサンを検索すると、オナラの匂いがマシになったという人もいる一方で、私と同じように臭いオナラが出まくったという人も多いようだった。
やはり体質なのだろうか。
オナラはまた別として、途中から効かなくなる要因は、菌に慣れてしまう事によるのではないかと思っている。
と言うか、そうとしか考えられない。
それで、2種類以上を交互に飲むと良い、とも言われているが、今の段階ではまだそれは試していない。
私と同じ経験をした人がいるなら、複数の種類の整腸剤を使ってみるといいかもしれない。
また、有名なものでなくてもビフィズス菌配合のものを安く気軽に試してみたいと言う人には、以下のような製品もあるのでよければご参考までに。
固有のブランドと言うだけあって、他の製品よりも断然コスパの良いものとなっており、ビオフェルミンなどの成分と比較しても効果に差はないと分かるので充分お勧めできるものとなっている。
PHARMA CHOICE 整腸薬 550錠
成分・分量 9錠中
ビフィズス菌・・・・・・・・・・24mg
ラクトミン(フェカリス菌)・・・・・・・・・・24mg
ラクトミン(アシドフィルス菌)・・・・・・・・・・24mg
添加物として、還元麦芽糖水アメ、アメ粉、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロースを含有します。(その他の添加物は、添付文書に記載
〈整腸剤の製品例〉
さて、ドラッグストアでは実際にどんなものが売られているのか、私が使ったものも含めて見ていこうと思うが、その前にまず、整腸菌は3種類ある事を知っておく必要がある。
①乳酸菌
②糖化菌
③酪酸菌
他にも、耐性乳酸菌なんてものもあったりするが、大きく分けるとこの3つ。
特徴的なのは活躍する場所。
糖化菌は酸素がないと生きられない事から、その作用する範囲は小腸に限られる。
逆に、強ミヤリサンに代表される酪酸菌は、酸素を嫌い、大腸でのみ活躍する。
だから初回だけとは言え、便秘によく効いたのかもしれない。
一方で乳酸菌は酸素があってもなくても大丈夫な為、広く作用してくれる。
今回はこれを踏まえて、分かりやすいシンプルな製品だけを見ていこうと思う。
コンクビヒィズス菌
コンクフェーカリス菌
コンクアシドフィルス菌
これらは全て乳酸菌の一種と考えて良い。
悪玉菌の増殖を抑える働きのある乳酸や酢酸を作り出す働きがあるもの、と、ざっくり覚えておこう。
強ミヤリサン
酪酸菌である宮入菌の単一製剤。
酪酸菌は芽胞を形成する為、乳酸菌や糖化菌よりも耐性が高く、生きて大腸に届く為、より便通に効果的と言える。
とは言え、私のようにオナラばかり出る方向へ行かなければの話だが。それは体質の問題なので、残念ながら使ってみなければなんとも言えない。
ビオスリー
酪酸菌
ラクトミン(乳酸菌)
糖化菌
前述した3種の整腸菌が全て入っているのがこのビオスリー。
上記で紹介した乳酸菌・糖化菌・酪酸菌の3種類が全て配合されているため、活動範囲が限定されず、小腸から大腸にかけて幅広い作用が期待できる。
菌が合わない為に使ってみたけれど効かない、というケースもあり得る整腸薬だが、ビオスリーなら全て網羅している訳なのでちゃんと効いてくれる可能性が高い。
Twitterでも、
「他のを試してダメで、ビオスリーに落ち着いた」
と言う人が多く、高い評価を得ている。
私も、次に使うならビオスリーを試してみたいと思っている。
|
「もっと色んなタイプの整腸薬について知りたい」
と言う方は、ぜひ以下の記事をご参考に。
https://touhan-diary.hatenablog.com/entry/2021/03/04/125143
〈便秘薬の製品例〉
便秘については、刺激を与えるべきものと、刺激を与えてはいけないものがあるのは前述した。
ストレスが原因として疑われ、コロコロと歯切れの悪い便しか出ない、という症状ならば、刺激が逆効果となる「痙攣性便秘」の可能性が高い。
この場合は整腸薬、又は下剤では非刺激性のものだけが候補となる。
妊婦が市販の便秘薬を買い求める事はないとは思うが、妊婦の場合も非刺激性が第一候補となる。
それ以外なら刺激性の便秘薬を選択肢とする事が可能だが、市販の便秘薬は刺激性成分だけの単剤よりも、刺激性と非刺激性の膨潤性や浸潤性(水分を含ませて便を柔らかくする)が組み合わせてあるものも多い。
便秘というのは仕組みに関わらず、総じて便が固くなっているケースが殆ど。
なぜなら、便が出てくるのに時間がかかればかかるほど、大腸に水分を吸い取られてしまうからである。
そこで、便中の水分を増やす成分が有効であり、無理なく出すために推奨されている。
[刺激性+膨潤性]の代表的な例
ウィズワン
スルーラックファイバー
非刺激性の代表的な例
酸化マグネシウム便秘薬E
コーラックMg
オイルデル
刺激性の代表的な例
スルーラックS
大きく3つに分けて考えると、このような製品例となっているが、全て説明すると長くなるので、この記事では私が使った事のあるものを中心に紹介する。
まずはウィズワン。
ピンクのウィズワンaや青のウィズワンエルもあるが、私が実際使ったのはスタンダードな緑のパッケージのもの。
[緑のウィズワンの成分]
(1日最大量3包中)
プランタゴオバタ3000mg
センノシド83.53
カスカラサグラダ53.6
カスカラサグラダというのは腸内サポート成分。
主となるのは上の2つで、プランタゴオバタは水分を含んで膨らむ膨潤性、センノシドは刺激性下剤のセンナに含まれる成分。
製品情報で謳われる通り、
膨らんで押し出すタイプ。
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次に酸化マグネシウムE便秘薬。
こちらは酸化マグネシウム2000mgの単一製剤(1日最大量6錠中)。
本来こっちを使ってダメなら刺激成分入りのものを、という流れが普通なのだが、
私の場合は登録販売者として非刺激性下剤の使用感も試しておきたいという興味もあり、ウィズワンで効果のあった後にこちらも使ってみたという次第。
〈使ってみてどうだったか〉
効き目
結果として、どちらも効くには効いた。
ウィズワンは1日最大3包まで飲めるとされているが、私は1日1包より多く飲んだ事はなく、それだけで充分な効果があり、服用の翌日あたりには便通があった。
酸化マグネシウムE便秘薬は効いてくるのが遅めなのか、私はまず3錠から試して次の日になっても出ず、また量を増やして6錠飲んだらかなり柔らかい便が大量に出た(笑)。
便秘薬は飲み薬だと服用してすぐ効くという事はなく、1日〜3日かかる事もある。
翌日効果がなかったからといってまたもう一回分を続けて飲んだり、量を増やしたりすると、お腹が痛くなったり、水分を含ませるタイプでは便が柔らかくなりすぎて下痢っぽくなってしまう事もあるので、気長に待つのがお勧めだ。
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飲み方
酸化マグネシウムは寝る前などの空腹時、ウィズワンは食後に飲むタイプとなっているが、必ずそのタイミングでなければならないという訳ではない。
ただ、刺激成分入りのウィズワンでは、食事による刺激を手伝うという面において、やはり食後がいいような気がしている。
また、効いてくる時間帯的に個人的には夜をお勧めしたい。
ウィズワンなら夕食後、酸化マグネシウムなら記載の用法通り寝る前、と言った所だ。
そこは飲んでみて自分なりの調整が必要になる部分だと思う。
また、どちらも便に水分を含ませるタイプなので、コップ一杯の水分と一緒に摂るのが肝要。
因みに言うと、ウィズワンではそんな事はなかったのだが、酸化マグネシウムを5〜6錠飲んだ翌日、朝起きてすぐ体重を測ったら0.5キロくらい増えている、という事が多かった。
食べるものは毎日殆ど変わらず、カロリー計算もしているので、タイミングとしても便秘薬が原因だったとしか考えられない。一回だけでなく毎回同程度の体重増加があったので、おそらく偶然ではないと思う。
そして、その後ちゃんと効果があって便が出た後には、体重は元に戻っているので、酸化マグネシウムが水分を保持した便が体内に残っていて、その分の増加だったのだと思われる。
併用についてだが、2つ以上の便秘薬の同時服用は、刺激性同士でなければ可能である。
実際にウィズワン(刺激性)と酸化マグネシウム(非刺激性)の併用をしてみた事もあるが、特に副作用などはなかった。
ただ、この場合はウィズワンにも水分を含ませる成分が入っている為、酸化マグネシウムと併用する事で若干便が柔らかくなり過ぎた感はある。
味
ウィズワンは顆粒タイプだが、緑はチョコレート、ピンクのaはピーチ、青のエルはヨーグルト味となっているので、粉末が苦手な人でも飲みやすい。
ただ、噛むと歯の間に残って取れにくいので、封を開けたら喉の奥に流し込んで、味わう事なく水で飲み込んでしまった方が後は良い。
逆に酸化マグネシウムは錠剤だが、独特の匂いがありキャンディコーティングもされていないので、味だけで言っても私はウィズワンの方が気に入っている。
注意点
酸化マグネシウムはCMでも言われている通り、少なくとも私はお腹が痛くなるような事はなかった。
しかしウィズワンは刺激成分のセンナが入っているので、初めて使う時はどうしても腹痛を伴う事を覚悟しておいた方がいいだろうと思う。
何度か使うと腹痛もそれほどではなくなるが、それに伴い効きも悪くなったというのが個人的な使用感。
初回や、或いは久しぶりに使ったりすると、お腹が痛くなって下痢っぽい便が出る、そして慣れてくるとちょうどいい硬さの便が腹痛なしで出るという感じ。
ただし、いずれにしても市販薬は一時的な症状に使うべきものなので、使い続ければそのうち量を増やしたり、もっと強めの成分でなければ効かなくなる時が来るだろう。
〈まとめ〉
正直、便秘は私も現在進行形で悩んでいる問題であり、根本的原因が別にある限り、慢性便秘を市販薬でどうこうできるものではない。
今のところ依存しているというほどではないが、この調子だとずっと使い続けることになるのではと危惧している。
ダイエット中であれば悩ましいところだろうが、どうしても便秘薬に頼りたくない、市販薬にお金をかけたくない、というのであれば、まず思い当たる原因を取り除く他はない。
炭水化物が足りていないと疑われるのなら増やすなど、食生活の改善が望ましい。
これも経験から言えることだが、食物繊維は野菜からだけ摂っても便秘にはあまり効果がない。
そもそも炭水化物とは、糖質と食物繊維から構成されているもの。
便秘には、野菜よりも炭水化物が効果的なのである。
基本となる炭水化物が足りていない状態で、野菜だけ増やす、ヨーグルトやキムチを摂る、腹部マッサージをする、なんて事だけやっても意味がないのは経験済みだ。
どの程度でクセになってしまうのかはまだ不明だが、上手に付き合っていこうと思う。
便秘薬や整腸剤のもっと詳しい製品比較などは、いずれまた別記事で書いていく予定だ。
最後までお読みいただきありがとうございました🙇♀️
【徹底解説】どれがおすすめ?整腸薬の成分比較と選び方
軟便、便秘など、下痢止めや便秘薬を使うほどではない程度の症状に、と買いに来る人も多い整腸薬。
ドラッグストアの店頭で、
どれがいいの?
とざっくり訊かれて困る商品の一つだと思う。
だが実は、整腸菌というのはどれが合うのかは個人差の大きい成分の一つであり、確実に「どれがおすすめですよ」「どれが1番良く効きますよ」とは言い切れないのが実情なのである。
とは言え医薬品を販売する登録販売者なら、それぞれの特徴くらいは説明できるようにしておきたいものだろう。
整腸薬の成分となる整腸菌は大きく分けて3種類ある。
乳酸菌
糖化菌
酪酸菌
糖化菌は酸素がないと生きられない為、その活動範囲は小腸に限られる。
そのせいなのか、糖化菌が単体で配合されている整腸薬というのは見た事がない。大体、他の菌と組み合わせた構成となっている。
その一方で、乳酸菌だけの製品、酪酸菌だけの製品はそれぞれ存在する。
乳酸菌は酸素があってもなくても生きられるので、小腸から大腸にかけて広く増殖し、悪玉菌をやっつけてくれる乳酸や酢酸を作り出す。
ラクトミン、フェカリス菌、アシドフィルス菌などと表記されているのは乳酸菌だと思って良い。
酪酸菌は酸素を嫌うので、酸素の少ない大腸に生息する。
芽胞という膜を張る為、胃酸に負けずに大腸まで生きて届きやすい耐性の強い菌である。
酪酸菌の一つとして、宮入菌がある。
上記を踏まえて、それぞれの成分を比較してみる。
★乳酸菌のみ配合のもの
最も有名なビオフェルミンSは、乳酸菌だけで構成される製品である。
コンクビヒィズス菌
コンクアシドフィルス菌
コンクフェカリス菌
★酪酸菌のみ配合のもの
強ミヤリサン
宮入菌(酪酸菌)の単剤。
日本人に合う菌として近年注目されてきている。
★3種類全てを配合したもの
ビオスリー
上記で紹介した乳酸菌・糖化菌・酪酸菌の3種類が全て入っている。
その為、活動範囲が限定されず、小腸から大腸にかけて幅広い作用が期待できる。
どの菌が合うか個人差の大きい整腸薬は、どれか1種類しか配合されていないものだと、使ってみたけど自分に合わなかった、という事があり得るが、全て配合されているビオスリーではそのような心配も要らない。
Twitterでも、「他のを試してダメで、ビオスリーに落ち着いた」など高い評価を得ている。
★腸だけでなく胃にも効くもの
太田胃散整腸薬
ラクトミン
酪酸菌
ゲンノショウコ、アカメガワ(整腸生薬)
ゲンチアナ(健胃生薬)
ザ・ガードコーワ整腸錠a+
納豆菌末(ビフィズス菌の増殖を助ける)
ラクトミン
ジメチルポリシロキサン(ガスだまりに効果のある消泡剤)
センブリ、ケイヒ、ウイキョウ(健胃生薬)
パントテン酸カルシウム(善玉菌の増殖促進)
沈降炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム(胃酸を中和する制酸剤)
MMSC(キャベジンにも配合される胃保護成分)
ビオフェルミン、強ミヤリサン、ビオスリーのように整腸菌のみで構成された比較的シンプルで分かりやすい製品がある一方で、このように複雑な構成となっている整腸薬も販売されている。
ガードコーワは胃酸から菌を守るために制酸剤がプラスされている一方、太田胃散整腸薬には制酸剤はない代わりに、耐性の高い酪酸菌が配合されている為、生きて届くという面においてはどちらが上とも言えない。
太田胃散整腸薬=強い整腸菌
ザ・ガードコーワ=弱い整腸菌+菌を守る制酸剤
違いを分かりやすくすれば、
太田胃散整腸薬=[整腸菌+整腸生薬2種類+健胃生薬1種類]
ザ・ガードコーワ=[整腸菌+健胃生薬3種類]
となっている為、便秘や軟便など腸への効果は太田胃散に、胃もたれなど胃への効果はガードコーワに、それぞれ軍配が上がる。
しかし太田胃散にも消化酵素が配合されているので、こちらも胃もたれに効かない訳ではない。あえて比較するなら、という話である。
また、ガードコーワにはガスだまりを改善する消泡剤も配合されている為、その方面の効果も期待するならこちらを選ぶと良いだろう。
★栄養補給もできるもの
この2つは効能効果が似ているとも言われ、価格の安いエビオスを選ぶ方が多いようだ。
実際の成分はどうなっているのだろうか。
乳酸菌培養菌
ニコチン酸アミド(ビタミンB3)
乾燥酵母 7125mg
※エビオス整腸薬
乾燥酵母 2025mg
フェーカリス菌(ラクトミン)
乾燥酵母とは、必須アミノ酸やビタミンを豊富に含んだ成分で、タンパク質や栄養素の補給ができるものと考えて良い。
エビオス錠は乾燥酵母の単一製剤で、整腸菌は入っていないが、乾燥酵母そのものにも整腸作用がある。また、整腸菌の餌となってくれる成分でもある。
この2つの効能効果は主に、
●胃もたれ、食欲不振などの胃腸症状
●便秘、軟便などへの整腸作用
●滋養強壮、栄養補給、虚弱体質改善
などが挙げられる。
因みにエビオス整腸薬の効能欄には、整腸作用しか記載されていない。
つまり、腸活だけでなく栄養補給もしたい場合に服用するもの。
価格については広告費など、メーカー側の様々な都合があるので定かではないが、ビタミンなどの栄養素は強力わかもとの方に多く入っている為、こちらの方が値段が高くなっている可能性はある。
この2つは、整腸剤の中でもちょっと異質な製品と言える。
〈他の市販薬との併用は?〉
基本的に、どの医薬品とも併用しても問題はない。
だが、ザ・ガードコーワについては少し注意が必要である。
ガードコーワに配合されている納豆菌は、ビタミンKを作る作用がある。
対してワルファリンなど、血を固まりにくくする為の抗凝固剤はビタミンKを抑える事で作用を示すもの。
つまり、ガードコーワと併用する事でワルファリンの効果を落とす可能性がある。
また、ガードコーワに配合されているカルシウム・マグネシウムなど、微量なミネラルが風邪薬や花粉症薬の効果を落とすおそれもあると言われている。
あくまで可能性があるという程度なので、それほど厳重に注意の要る訳ではないけれども、
血栓の治療をしている人、風邪薬や花粉症などと一緒に使いたいという人については、できればガードコーワ以外の選択肢を提示できると良いだろう。
他の医薬品の効果を落とす可能性がある一方で、逆に併用する事で整腸薬の効果が弱まる恐れのあるケースもある。
それは、抗生剤を使用している場合。
抗生剤は体の中の悪い菌だけでなく、良い菌も見境なく攻撃してしまう為、整腸薬を若干効きにくくする可能性が出てくる。
抗生剤を飲んでいて、お腹を下す人があるのもそのせいである。
そのような場合のために、抗生剤に耐性のある菌も存在する。
酪酸菌と、
耐性乳酸菌である。
酪酸菌は、前述通り芽胞を形成するため、胃酸だけでなく抗生剤にも強く、抗生剤と一緒に使っても効き目は落ちにくい。
酪酸菌が入っているのは、上で挙げたものの中では、
強ミヤリサン
ビオスリー
太田胃散整腸薬
の3つとなる。
耐性乳酸菌は、ビオフェルミンRという製品に代表されるものだが、こちらは処方薬となっており、ドラッグストアでは購入できない。
下痢や軟便の副作用を避けるために、抗生剤と一緒に処方されるものであるようだ。
また、有名なものでなくてもビフィズス菌配合のものを安く気軽に試してみたい、と言う人には、以下のような製品もあるのでよければご参考までに。
固有のブランドとあって、他の製品よりも断然コスパの良いものとなっており、ビオフェルミンなどの成分と比較しても効果に差はないと分かるので、充分お勧めできるものとなっている。
PHARMA CHOICE 整腸薬 550錠
成分・分量 9錠中
ビフィズス菌・・・・・・・・・・24mg
ラクトミン(フェカリス菌)・・・・・・・・・・24mg
ラクトミン(アシドフィルス菌)・・・・・・・・・・24mg
添加物として、還元麦芽糖水アメ、アメ粉、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロースを含有します。(その他の添加物は、添付文書に記載
主な市販の整腸薬の違いについて、お分かり頂けただろうか。
店頭で販売する時、又は自分が購入する時などに参考になれば幸いである。
気圧による頭痛や二日酔いに。実は漢方が基礎になる市販薬
こんにちは、或いは初めまして。
駆け出しブロガーの登録販売者コウペイです。
久しぶりの更新となる今回は、低気圧不調に効く市販薬について。
気圧の変化で起こる不調として、
頭痛
めまい
むくみ
だるさ
気分の落ち込み
などが挙げられる。
これらが総じて低気圧不調と呼ばれるわけだ。
私自身、天気の悪い日はなんとなく朝から怠くなり、接客業なのに顔の筋肉が動かなくて困ったりする。
接客業でなくても、怠くて体に力が入らない、慢性頭痛がひどくなって薬に頼っている、という方も多いのではないだろうか。
こういった不調は、気圧変化によって体内の水分バランスが乱れる事で起こるもの。
Twitterを見ていると、ロキソニンなどの痛み止めを使うという人をよく見かける。
もちろんロキソニンも悪くはないのだが、雨の日や天気の崩れで酷くなる頭痛であれば、五苓散がお勧めだ。
医薬品に関わる仕事をしている人でなければ中々耳慣れない名前かもしれないが、むくみや頭痛、二日酔いなどに効能のある漢方薬で、
簡単に言えば、体内の水分を調整してくれるお薬。
配合されているのはチョレイやブクリョウといった生薬で、
これらは利尿薬となっており、水分代謝を改善して体内の余分な水分を取り除いてくれる成分なのである。
五苓散といっても馴染みがないかもしれないが、
カタカナで販売されている製品もある。
テイラック
ギアガード
アルピタン
何気に有名なこの3つ製品の成分が、実は五苓散と同じ。
テイラックとギアガードは頭痛、
アルピタンは二日酔いのイメージがあるかもしれないが、
実はどれも効能としては変わらない。
五苓散は水分循環を改善してくれるお薬なので、水分停滞が原因の二日酔いにも効果があると言うわけだ。
漢方だと効くのがゆっくりなのでは?というイメージを持つ人も多いかもしれないが、時間がかかるのは体質改善などに使う場合で、急性の症状に使う場合は決してそのような事はない。
また、ロキソニンなど痛み止めとの併用も可能なので、どちらかで効かなければ併せて飲んでみる、というのも良いだろう。
イブやロキソニンが痛みにしか効かないのに対し、五苓散は水分停滞による不調全般に効果のあるもの。
ただ、頭痛に関してだけ言うならロキソニンの方が早く効くので、
低気圧でいつもの不調が来そうだな、と思ったら五苓散、
頭痛も酷くなってきたらロキソニン、
という飲み方でもいいかもしれない。
もし五苓散を知らなかった、或いはアルピタンやテイラックが五苓散だと知らなかった、という人がいたら、この記事が参考になれば何よりである。
「低気圧が来るたびに調子が悪い」「普通の痛み止めが不十分」という方がいたら、市販薬を購入する際の選択肢の一つとして、頭の片隅に置いておくと良いかもしれない。
最後までお読みいただきありがとうございました╰(*´︶`*)╯♡
コンドロインチン製品で医薬品をお勧めする理由
ドラッグストアで積極的に売り出される事の多い製品の一つ、コンドロインチンZS錠。
売る側なら、キャンペーンに向けてお勧めポイントをしっかり押さえておきたいところだろうし、
買い物をする立場の方なら、
本当に効くの?
という根拠が欲しいところだと思う。
今回の記事では、他の医薬品やサプリメントとの違い、グルコサミンとの違いについて、簡潔に解説していこうと思う。
〈そもそもコンドロインチンとは?〉
コンドロインチン硫酸エステルナトリウムとは、軟骨の主成分プロテオグリカンを構成する成分。
対してグルコサミンは、そんなコンドロインチンの元、と考えると良い。
〈コンドロインチンの効能〉
軟骨主成分は年齢と共に減少する。
骨同士がぶつかる事で、膝の痛みが生じてしまう。
医薬品のコンドロインチンは、減少した軟骨成分を補う事で、関節痛を改善する事ができる。
コンドロインチンの効能は、関節痛だけではない。
- 血中コレステロール&過酸化脂質の除去→「高血圧や動脈硬化予防」に
- 体内組織の構成を正常に→「腎疾患の改善サポート」
- カルシウムの代謝に関与→「骨粗鬆症予防」に
- 保水作用がある→「肌のハリツヤ、アンチエイジング」に
以上のような効果も期待できるとされているが、
足りない部分に積極的に補填されるとも言われており、軟骨が足りないなら優先的にそこへ使われる。
肌をツヤツヤにしたい!と考えている人で、軟骨に問題がなければ肌にも効果があるかもしれないが、そうでなければコンドロインチンは軟骨に使われて、皮膚になるとは限らない。
〈サプリメントとの違い〉
医薬品のコンドロインチンZS錠は値段が高く、中々手が出にくいという人もいるかもしれない。
もっと安価なサプリメントもあるし、そっちで充分なんじゃないの?と考える人も多いだろう。
買う側からしたらそう思うのも当然だ。
しかし、サプリメントに配合されているのは植物性だったり、コンドロインチン含有サメ軟骨というものだったりする。
動物性に比べて、植物性のものは吸収率においてかなり劣る。
どうせ同じ量を摂るなら、吸収率は高い方が良い。
また、コンドロインチン含有サメ軟骨というのは、その名の通り、コンドロインチンそのものではなく、コンドロインチンを含んでいるサメ軟骨に過ぎない。
また含有率自体も低い。
治験データで効果が認められている成分は「コンドロインチン硫酸エステルナトリウム」だけであり、これを主成分とする医薬品が最も効果的である。
〈多く含まれる食品〉
コンドロインチンは納得、オクラ、山芋、なめこ、海藻などのネバネバ食品にも含まれるので、サプリや医薬品なんて要らないのでは?と考える人もいるだろう。
しかし、コンドロインチンは食品から摂っても分解されて吸収されていくので、軟骨成分になってくれるのは僅かな量。
その為、最初から医薬品で摂るのが最も効率的なのである。
〈製品比較〉
①コンドロインチンZS錠 (ゼリア新薬)
コンドロインチン硫酸エステルナトリウム1560mg
②コンドロビーEX(ゼリア新薬)
コンドロインチン硫酸エステルナトリウム900mg
+
ビスベンチアミン(ビタミンB 1誘導体)
リン酸ペリドキサール(活性型ビタミンB6)
③コンドロイザー(コーワ)
コンドロインチン硫酸エステルナトリウム240mg
ボウイ乾燥エキス
ベンファチアミン(ビタミンB 1)
シアノコバラミン
トコフェロール
②は主成分が①のコンドロインチンZSの半分量である代わりに、神経を修復したり血行促進作用のあるビタミン類をプラスしてある。
③はもう少し少なめの800mgで、ビタミンだけでなく、痛みや炎症を抑えて関節痛や神経痛を改善するボウイという生薬が足されている。
①→コンドロインチン最大量1560mg
②→コンドロインチン900mg+ビタミン類
③→コンドロインチン800mg+ビタミン+生薬
どれがお勧めなのかという話になるが、ビタミン類ならビタミン製剤からでも摂ることは可能だし、
膝の痛みに悩むような年齢の方なら、既に飲んでいるというパターンも多いのではないだろうか。
元々体内に存在する成分を補う形のものなので、配合量は多い方が効果的と言える。
まずコンドロビーやコンドロイザーから試してみるというのも悪くないだろうが、私なら迷わずコンドロインチンZS錠をお勧めする。
〈相乗効果を期待できる製品〉
◆グルコサミン
元々グルコサミンを服用している、という方もいるだろうが、前述した通りこれはコンドロイチンの元になる方なので、体内に吸収される段階で分解されたり、結局どのくらいが軟骨になるか定かではない。
コンドロインチン硫酸エステルナトリウムをそのまま摂取した方が高い効果を期待できる。
もちろん、グルコサミンが悪いというわけではないので、服用している方は是非そのまま続けていただきたい。
相乗効果が期待できるという意見もあるため、コンドロインチンとの併用もオススメである。
◆ビタミンサプリ
また、コンドロインチンZS錠のような単一製剤と合わせて、神経を補修するビタミンも一緒に摂りたいという方は、サプリメントもお勧めである。
持論だが、医薬品のビタミン剤は配合量ばかり多くて、食事からも摂取できるビタミンをこんなに摂る必要はないのでは?と思えてならない。
特に水溶性のビタミンは多く摂っても流れていってしまい、体に溜めておく事はできないので。
サプリメントなら配合量そのものは少なくても、アミノ酸やミネラルなど体に必要な成分も満遍なく配合しているものがある。
鉄やカルシウムなどのミネラルを摂る事で貧血や骨粗鬆症の予防にもなるし、 アミノ酸は爪や髪の毛を補強する効果もある。
ディアナチュラのストロング39アミノは、300粒で3ヶ月分となっているが、食事からの栄養素を補う目的なら一粒でも充分な気がするし、一日一粒なら一年は保つのでコスパ的にはかなり推奨できる。
私の知る限り、医薬品ではビタミンを摂れるものはあってもアミノ酸まで配合されているものはないので、サプリメントで一度に摂取した方が早い。
コンドロインチンと一緒にビタミンも摂っておきたい、という人は、コンドロイザーやコンドロビーだけでなく、最大量配合のコンドロインチンZS錠とサプリメントの併用も選択肢として念頭においてみて欲しい。