登録販売者コウペイが教える市販薬の選び方

市販薬について、新人登録販売者やドラッグストアで買い物をする方などに、出来るだけわかりやすく解説する記事を書いています。時には書評記事も。

めまいに効く市販薬

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めまい。

若くて健康な人には縁のない症状だろうが、年配の方など、案外にもめまいを訴えて来店する顧客も少なくはない。

その中には乗り物酔いのような一時的なものだけでなく、よく原因の分からない慢性的なものも。

 

今回は、めまいの種類によってどういう市販薬を使い分けたら良いのか、また、どのような仕組みで作用するのかを考えてみた。

 

めまいの種類

めまいには、難聴を伴わず数分で治まる良性発作性頭位めまいや、風邪などから続いて生じる前庭神経炎などの軽症なものから、

聴力障害を伴い数時間では治らないメニエール症候群など、原因によってさまざまなものがある。

 

市販薬の範囲内となるのは、このうちの軽度なもの。

また、乗り物酔いや更年期障害など原因のはっきりしているものに対しては、それぞれ、乗り物酔い薬、漢方系婦人薬を使用する事になる。

 

代表的な漢方

めまいに有効な市販薬として、まず漢方の苓桂朮甘湯がある。しかしこれの主な構成生薬は、ブクリョウやソウジュツなどの水分循環をよくするもの。

 

水分循環がめまいにどう関係があるの?

と思うところだが、要するにこの苓桂朮甘湯は、水毒を排出する事でめまいを改善するもの。

めまいの第一原因として、水分が停滞している事を疑う事による。

 

苓桂朮甘湯

ブクリョウ

ソウジュツ又はビャクジュツ

ケイヒ→のぼせ、頭痛を発散して治す。

カンゾウ

 

効く仕組みとしては、低気圧による頭痛などの不調に使われる五苓散に近いと言えるだろう。

確かに、五苓散の効能にはめまいも含まれている。

 

更年期によるめまい

原因が更年期障害であるなら、更年期諸症状に効く漢方薬を使用する。

代表的なものとして、

当帰芍薬

桂枝茯苓丸

などがある。

①は虚証向けなのでどちらかと言えば体の弱い人の、特に冷えの強い場合に適すし、②は実証向けなので、割と体力や体格のいい女性の、特にほてりなどが強い場合に適すとされる。

 

ルビーナ®️

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赤いパッケージのルビーナは、先ほど紹介した苓桂朮甘湯+四物湯の連珠飲処方なので、婦人薬の中でもめまいなど伴う更年期にお勧めできるだろう。

乗り物酔いによるめまい

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トラベルミンシニアなど、通常の乗り物酔い薬の効能に、めまいも含まれている。あくまで、乗り物酔いが原因の場合である。

 

トラベルミンシニア

ジフェンヒドラミン

ジプロフィリン

 

その他の成分

ガンマオリザノール

めまいや耳鳴りにも効果が期待できる成分で、自律神経調整薬ハイゼットにも配合されているもの。

市販薬では、アリナミンEXなどのビタミン剤に入っていることも多い。

 

受診案件

軽度なものなら市販薬を使用してみても良いが、それで改善しないようであれば、何か別の重大な病因が存在する可能性もある。

 

特に高齢者では、血圧の薬による可能性や、脳梗塞など脳循環の異常が原因となっている可能性は大きい。

 

●吐いてしまうような激しいめまい

●手足の麻痺

●呂律がおかしくなる

●感覚の異常

…など別の症状を伴うめまい

 

これらに当てはまるようであれば、市販薬を使用しても効果がなく無駄になってしまう可能性もあるため、最初から受診することをお勧めする。

 

また、強い不安やストレスによるめまいなら、向精神薬を処方してもらうより他になく、これも市販薬の対象外となる。

 

因みに言えば、めまいはほぼ全ての薬で副作用として起こり得るため、使っている薬があれば、原因がそこにある可能性も考慮する必要があるだろう。

 

まとめ

●原因が分からないめまい(症状の軽いもの)

苓桂朮甘湯

ガンマオリザノール配合のビタミン剤(アリナミンEXなど)

 

●更年期によるめまい

当帰芍薬

桂枝茯苓丸

ルビーナ

などの漢方系婦人薬

 

●単純な乗り物酔い

トラベルミンなどの乗り物酔い薬

 

●吐き気を伴う、市販薬で改善しない

重大な病気の可能性

又は使用中の薬の副作用

受診

 

店頭で相談を受けた際、又はご自身がめまいに悩まされている方は、ぜひ参考にしてみて欲しい。