登録販売者コウペイが教える市販薬の選び方

市販薬について、新人登録販売者やドラッグストアで買い物をする方などに、出来るだけわかりやすく解説する記事を書いています。時には書評記事も。

原因から学ぶー胃もたれの仕組みと対策ー

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胃の症状として、胃痛、胸やけと見てきたが、胃がムカムカする、と言うような胃もたれを訴えるお客様も多い。

 

胃もたれの原因〉

そんな胃もたれの原因は大きく2つある。

食べ過ぎ、飲み過ぎで消化が追いついていない

ストレス、加齢により消化機能が衰えている

 

原因そのものは違っていても、「食べた量に消化が追いつかない」という点では同じなので、どちらも、

●消化を助ける消化酵素

●胃腸の働きを活発にする健胃生薬

が有効となる。

 

消化酵素には、

ウルソデオキシコール酸(胆汁を分泌して脂肪を消化)

リパーゼ(脂肪を消化)

プロザイム (タンパク質を消化)

アスター(でんぷんとタンパク質を消化)

などがある。

 

健胃生薬には大きく分けて、①香りで胃腸を刺激する芳香性健胃薬②味で刺激する苦味性健胃薬とがある

 

①芳香性健胃薬

ケイヒ

ウイキョウ

ニクズク

チョウジ

チンピ

②苦味性健胃薬

ゲンチアナ

ニガキ

                  

香りや苦味で胃腸を刺激し、消化液を出させる働きがある為、胃もたれに効果的な成分である。

苦いからといってオブラートに包むと効果がなくなるとも言われるが、味や香りだけでなく「直接胃腸を刺激する作用」も併せ持っている為、絶対包んではダメというわけでもない。

だが、最大限効果を引き出すにはオブラート無しで服用した方がいいだろう。

〈製品例〉

◆消化酵素単剤のもの

タナベ胃腸薬ウルソ

◆生薬中心のもの

ガストールアクティブ

◆消化酵素や健胃生薬だけでなく、胃を守る成分なども配合した総合胃腸薬タイプ

キャベジン

スクラート

セルベール

パンシロン01プラス

第一三共胃腸薬

太田胃散

etc.

 

どれを使っても構わないが、あえて使い分けの参考として、

食べ過ぎ飲み過ぎが原因で、既に症状が出た後なら、セルベールキャベジンなど、消化酵素や健胃生薬にプラスして胃を守る成分も入っている「総合胃腸薬タイプ」

 

胃腸機能低下による消化の衰えが原因なら、ウルソなど、消化を助けるタイプのものが良いとされる。

(※こちらは症状が出る前でも、出た後で飲んでも良いタイプだが、配合されているのは消化酵素だけなので、既に症状があるなら、どちらかと言えば①の総合胃腸薬をお勧めする)

また、原因がよく分からない」という人には、

水を飲んで楽になる→①食べ過ぎ飲み過ぎ

お湯を飲んで楽になる→②胃腸機能低下

という判断の仕方もある。

 

食べ過ぎ飲み過ぎの心当たりもなく、高齢者や、強いストレスのある人の胃もたれなら、②の可能性が高いだろう。

 

〈総合胃腸薬の比較〉

セルベール

最も安心して使えるシンプルな構成。

※他に安心して使用できる胃腸薬の成分については以下の記事を参照。

https://touhan-diary.hatenablog.com/entry/2021/02/02/194928

 

スクラート

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胃を守る成分の中で最強の効き目スクラルファート配合。

胃もたれの時は、消化酵素配合の錠剤がお勧め

(※散剤の方は消化酵素が入っていない)

 

緑のパッケージのスクラートSの方は、錠剤散剤共に同じ成分で、

スクラルファート健胃生薬消化酵素

という構成になっている為、主な症状が胃もたれなのであれば、スクラートSの方がお勧め。

Sの方もスクラルファートの配合量は青いパッケージの無印と変わらないので、胃を保護する点においては無印のスクラートに劣らない。

 

太田胃散

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●錠剤→脂質やタンパク質を分解する消化酵素に特化 

脂っこいものを食べて胃がもたれている時におすすめ。

●散剤→芳香や苦味の刺激で胃を元気にする生薬が豊富。

※消化酵素は1種類のみ。

胃が弱っている時に向く

(因みに1回分で見ると、成分量は散剤の方に多く配合)

 

ガストールアクティブ

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緑のパッケージのガストールとは全く異なる生薬中心の製品。

太田胃散の散剤の方と同じで、外箱にもある通り、「弱ってもたれている胃」にこちらもお勧め。

 

第一三共胃腸薬

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消化酵素、健胃生薬、胃粘膜を守り炎症を抑える成分などをバランスよく配合。

第一三共胃腸薬プラスの方は、胃の修復を助ける成分や整腸菌をプラスしてある。

第一三共胃腸薬グリーンの方は、どちらかといえば胃を守る方に特化している製品。

 

〈まとめ〉

これだけ調べてみても、胃腸薬は成分も製品も種類が多くて、店頭での接客は難しいのが現実。 

そこで、自分なりにお客様への紹介を一言にまとめてみることにした。

 

★胃が弱ってもたれているなら

■田辺胃腸薬ウルソ

→「消化機能を助ける消化酵素が入っています」

■ガストールアクティブ

胃腸を元気にする生薬中心のお薬です」

■太田胃散(散剤)

「錠剤とは成分が違って、苦味や香りで胃を刺激する生薬が豊富に入っています」

■スクラートS胃腸薬

胃を守る成分の中でもトップクラスのスクラルファートに、胃を元気にする健胃生薬を豊富にプラスしています」

 

★食べ過ぎて胃がもたれているなら

■田辺胃腸薬ウルソ

脂っこいものを消化する消化酵素が入っています」

■太田胃散(錠剤)

消化を助ける消化酵素の種類が豊富に入っています」

第一三共胃腸薬プラス

消化を助ける成分や胃を守る成分がバランスよく入っている本シリーズの中でも、整腸菌もプラスされている商品になります」

 

まるで売り込みのようになってしまったが(^_^;)、このように自分の職場の推奨品なども加味した上で、どれをお勧めするか選んでおくと、いざ訊かれたときにすぐ答えられるので良いかもしれない。