子供でも使える痛み止めと、生理痛特化薬
痛み止めを買いに来たのだが、どうやって選んだら良いのか分からない
と、40代くらいの女性客に声をかけられた事がある。
こういう時のために自分がいるのだし、よほど忙しい時でなければこうして相談してもらえるのは嬉しい限り。
話を聞くと、高校生の娘の生理痛に使うものが欲しい、との事だった。
自分に使うものなら普通に買っていくけれど、子供に使うものは慎重に、となる人も多い。だからこそ私にご相談いただいたのだろう。
しかし高校生という事であれば15歳以上になるので、成人と同じ扱いで良く、どの医薬品でも選ぶ事は可能だと説明した。
痛み止めなら全て生理痛に適応しているし、鎮痛成分は個人差もあるので必ずしもどれが良く効くとは言えない。
が、エルペインという医薬品があり、これは痛みの元を抑えるイブプロフェンと、胃腸や子宮の過剰な収縮を抑えるブチルスコポラミンを併せたもので、生理痛に特化した痛み止めと言える。
①(イブやバファリンなど)通常の痛み止め
→鎮痛成分のみ
②エルペイン
→鎮痛成分+抗コリン成分ブチルスコポラミン
これを紹介したら興味を示されたが、更に訊いてみると娘さんに中学生以下の弟妹もいらっしゃるとの事だったので、子供でも量を調整して飲めるバファリンルナjも合わせて紹介。
すると、「こんなのあるんだ!」とかなり食いついて、これにしますと言ってレジへ向かわれた。
確かに家族全員で使えるのでコスパは良いかもしれない。
しかし一個説明し忘れた事がある。
エルペインやイブに配合されるイブプロフェンは、痛みの元であるプロスタグランジンという物質を抑える為、この物質が仕組みそのものに関与する生理痛に効果的なのだが、
一方でバファリンルナjの成分アセトアミノフェンはプロスタグランジンを抑えずに鎮痛効果を示すもの。
◆イブプロフェン→痛みの元を抑える→生理痛によく効く
◆アセトアミノフェン→痛みの元ではなく中枢に作用→生理痛には効果が弱い
だからこそ副作用が少ないのだし、痛み止めの効果には個人差が大きいとはいえ、生理痛に良く効くのはイブプロフェンの方。
もちろんバファリンルナjの効能欄にも「月経痛」があるが、どうせ使うならよく効いたと思われた方が良いし、特徴をよくわかった上で使ってもらうに越した事はない。
ちょうどレジに呼ばれ、その女性客の会計を担当する事になったので、ついでにその説明もした。隣には当事者の娘さんもいて、母親が「どうする?」と確認すると少し悩み、売り場へもう一度向かわれた。最終的にエルペインを選ばれた様である。
レジではその親子の後に別の客が並んでおり、最低限の説明しかできなかった。親子も遠慮してゆっくり話を聞けなかったのではないか。
売り場にいればエルペインやバファリンルナJ以外の選択肢も提示できたかもしれないのに。
2つは言ってみれば極端な例で、イブプロフェンの単一製剤でもプロスタグランジンを抑える作用はある為、生理痛に充分な効果がある。
単一製剤のリングルアイビーa200やイブなら眠気もなく、生理痛だけでなく頭痛にも使えて経済的である。
そう思うと、最初に全部説明出来なかった自分が悔しい。